陶芸で器が割れる原因の多くは、焼成中ではなく乾燥の段階にあります。急いで乾かすと、粘土の内側と外側で収縮のスピードが変わり、ひびが入ります。乾燥は地味な工程ですが、成形と同じくらい大切です。
粘土が乾燥する仕組み ¶
粘土は水分を含んでいます。乾燥が進むにつれて水分が蒸発し、粘土は収縮します。問題は、外側が先に乾いて収縮し始めると、まだ水分を含んでいる内側との間に引っ張り合いが生じることです。この引っ張り合いが、ひびの原因になります。薄い部分と厚い部分が混在している器は特に注意が必要で、均一な肉厚を保つことが乾燥管理の前提になります。
Frostcove Lineでの乾燥管理 ¶
教室では、成形後の器をビニール袋で緩く覆い、1〜2日かけてゆっくり乾燥させます。完全に乾燥するまでの目安は、器の大きさにもよりますが、小さな湯呑みで3〜5日、大きな鉢で1週間以上です。乾燥棚は直射日光が当たらない場所に置き、夏は特に扇風機の風が直接当たらないよう注意しています。急いで乾かしたいときは、ビニールの覆いを少しずつ外していきます。
高台削りのタイミング ¶
高台削りは、器が「革硬」と呼ばれる状態のときに行います。革硬とは、形は保てるが、まだ少し水分が残っていて削りやすい状態です。完全に乾燥してしまうと、粘土が硬くなりすぎて削りにくく、かんなが滑って器が割れることがあります。逆に水分が多すぎると、削るときに形が変形します。このタイミングを見極めるのが、陶芸の技術の一つです。
素焼き前の最終確認 ¶
素焼きに入れる前に、器を手で持って軽く叩いてみます。乾燥が十分なら、澄んだ音がします。水分が残っていると、鈍い音がします。この確認を怠ると、素焼き中に水蒸気が急激に発生して器が割れることがあります。Frostcove Lineでは、生徒さんの作品を素焼きに入れる前に中村 葵認しています。
乾燥を急がないことは、器への敬意だと思っています。時間をかけて乾かした器は、焼成でも安定しています。